第19回「生活習慣病予防のための健康管理・指導」

■保護者へのアプローチ

衞藤 今、情報のことが出てきましたが、小学校から中学校には健康診断表もちろん送られるんですけれども、特別に何か肥満の程度が激しい子どもとか、そういう場合には小学校から中学校へほかに何か指導上の留意点など話し合うといったことは実際上、行われているのでしょうか。

徳冨 私の中学校区では、卒業の時に生活習慣だけではなくアレルギーや心臓疾患などいろいろな健康課題をまとめたものを引き継ぎする会議が行われています。一部、違う中学校に行く子についてもいろんな形で引き継ぎはするようにしています。

叶  中学校サイドでもそれは必ずやるようにしています。入学したあとも卒業した小学校と情報交換を行う機会があります。さらに現在の生活の様子とか、病状の経過・気になる点などいつでも連絡を取り合えるように、地元の養護教諭同士でできるようにしています。

衞藤 きめ細かい対応が大事ですよね。

叶  本校は今、2年間の学校給食の研究推進という指定を受けています。給食と食育、生活習慣、保健指導、保健学習、教科領域の中の食育指導というところも細部に渡ってやっていく状況下にあります。食育と絡めた指導を保健指導の中でやっていくと、いろんなところで子どもたちの姿が明らかになっていきます。子ども自身の意識を高めていくという点に取り組んでいこうとは思うのですが、変容がみられないところは家庭のバックアップも必要です。家庭との連携が重要ということを感じています。興味関心がある保護者はいろんな働きかけをした時に、学校に協力をしてくれたりしますが、それ以外の保護者へ、どのようにアプローチしていくかということが課題なのですが。

衞藤 来ない保護者への、ですか。そこに問題がある。

叶  そこなんです。

徳冨 指定校の話じゃないですけれど、本校は私が勤務する前に体育研究大会の授業公開校であったという流れから体力向上に非常に力を入れていています。教室で行う保健指導とは違い体を動かすことは子どもにとって魅力的なところがあって、いろんな工夫をしながら児童会のイベント大縄大会だとか遊具を使っての大会とかを計画して休み時間に行っています。一生懸命、教員も取り組んだ体制が残っていて子どもが外で遊ぶというのが非常に習慣化されています。養護教諭は保健指導が中心ですけどやはり小学校だったら運動というところからのアプローチも絡めると子どもにとっては興味があると思います。肥満指導でも小学校はあまり食を制限するという段階ではないので、それだったら運動をということを保護者から相談があれば勧めています。そういうところからのアプローチも上手に連携できるといいのかなと。いろんな指導をするのには担任との連携がすごく必要で、かなり労力がかかるんですけれど逆に体育など教科で一生懸命やっておられるところに上手く便乗させてもらうと皆が楽しくできるというふうには思っています。

衞藤 それは学校生活のなかだけでなく、放課後などでも。

徳冨 放課後まではしていないのですが、ただ地域的に、ずっと夏休みはラジオ体操を地域で取り組んでいる歴史があります。お盆は休みですが、生活リズムをつくるのもラジオ体操があるので早起きできる、そういう地域の特性もあるんですけれど。

衞藤 ちょうど10年ぐらい前ですか。中教審で子どもの体力向上のための総合的な方策といって出した次の年に予算がつき、日本体育協会でしたか、独自の取組をしてくださいと言って手を挙げたところにお金を出す、3年間、学校だけじゃなくて地域と連携してということで、その結論は、運動に関しては要するにやればそれなりの効果が出るということでした。子どもは外遊びとか具体的にその地域でどういう人がそれに係わって、どういう遊びなり指導をしていくのかということをやれば、ちゃんと測定値に変化は表われるんですよね。それもお金が切れると多分、活動が終わったでしょうから。今、先生のところは習慣としてそういうことが残っている。

徳冨 そうですね。子どもたちはわりと低学年も5、6年の委員会活動等で高学年が活動しているのを見ているので、そういうところから委員会活動で。例えば、クラス大会の何々大会とかイベントを企画したりとかということで体力向上を図っているというようなところもありますし、今後はその中でも保健的なところも子どもたちに関心を持ってもらえるように、こちらが仕組んでいくということもできればいいかなと思うのですが、なかなか。

衞藤 でも今、運動とかそういうことが指導のきっかけでも結局は生活のリズムとか、そういうところにつながっていくわけだから入口は何であってもいろんなやり方があるんだなと思います。