第16回「今後の健康診断」

個別の健康診断項目の見直し

今回の検討会では、座高、寄生虫卵、運動器検診、血液検査の4つの健康診断項目について見直しが検討されています。まず、座高からお伺いしたいのですが。

座高

 座高については、平成23年度の調査において、「健康診断のなかで『省略してもよい項目』」として、各校種から最も多く挙げられた項目でした。身長、体重、座高で測定された個々のデータは、それぞれの子どもの発育の評価に役立てることが重要です。座高のデータも発育の評価に有用とされますが、現状ではほとんど活用されていません。また、発育の評価のためには、身長曲線・体重曲線を活用することがより重要とされています。検討会のまとめでは、これら成長曲線の活用推進を図っていくことを前提とするならば、今後は座高の測定は省略可能ということになりました。

 
ぎょう虫検査

寄生虫卵の検査はいかがでしょう。

 学校の健康診断での寄生虫卵検査では、この10年間、検出率が1%以下と低い状態です。また、検査は多くの学校がぎょう虫卵の検査として実施していますが、ぎょう虫は手洗いや清潔の保持などの基本的な衛生教育で対応できることが示されました。よって、寄生虫卵の検査についても、今後は省略してもよいとされました。

 ただ、寄生虫卵検査は地域によって検出率に差があり、比較的多く見られる都道府県もあります。そうした地域では、今後項目の見直しが図られたとしても、引き続き寄生虫への適切な対応が必要となります。

 

運動器の検診についてはいかがでしょう。

 現代の子供たちには、運動器に関する様々な課題が増えています。これはスポーツクラブや部活動などでの過剰な運動や、逆に外遊びの減少や運動不足などの2つの原因と考えられています。時間の限られた学校の健康診断のなかで、全ての要素を扱うことは大変困難ですので、これらの対応として、保健調査などを活用し、家庭での観察をふまえて、その情報を学校医に伝え、学校医が診察を行って異常があれば事後措置として保健指導や専門機関につなげていくという方向になります。この検診の実施にはある程度の専門知識が必要となりますので、整形外科医や専門機関と連携し、研修など助言を得る機会を設ける体制づくりも推進する必要があります。

血液検査についてはどうでしょうか。

 血液検査は、平成23年度調査の「追加するべき項目」の意見として一番多かった項目でした。生活習慣病や鉄欠乏性貧血などを発見するために実施が望まれているのですが、全国一律で行うことは大変難しいと考えられます。生活習慣病の改善や将来的な予防のためには、肥満度などを参考にしつつ、全員に対しての健康教育の実施が重要であり、今後は健康教育の推進がさらに求められることになります。