第3回テーマ「学校での応急処置・対応」

[外科関連]

Q.縫合が必要なけがの場合、医療機関受診前に学校での消毒はどのようにしたらよいか?

A.校内で縫合の必要なけがが発生したときには、原則創部をできるだけ清潔なガーゼ等で強く押さえ、一刻も早く医療機関に受診することが大切です。四肢のけがで泥等で著しく汚れている場合は、水道の流水下で手早く洗い流し、乾いたガーゼ等で包み受診することを勧めます。この時に、出血が著しい(動脈性)場合は、創傷の心臓に近い部位を布片等で圧迫止血し、長時間に及ぶ場合は、時々緩めたり締めたりしながら受診することも必要になります。

Q.頭部の打撲で意識もしっかりし、悪心などない場合、患部を冷やし安静にして様子をみるではいけないか? また、様子観察はどの程度続ければよいのか?

A.頭を打った場合、受傷後意識障害の全くないものは、脳自身の損傷もあまりなかったと考えられ、1〜2時間安静観察後、何もなければ帰宅させます。しかし、保護者には、万が一を考え、2〜3日は入浴を避け、意識の状態、吐き気のない嘔吐、激しい頭痛、けいれんや筋力の低下等、日ごろと少しでも変化があれば、専門医の受診を指示してください。

Q.学校で指を切断した事故のあった場合、その切断部位と、切断部への応急処置はどうしたらよいのか? また、切断部位は、氷の中に入れて持参することでよいのか? 

A.指切断事故においては、状況により再接着が可能な場合もあるので、切断指の扱いは大切です。注意点は、1)乾燥を防ぐ 2)低温を保つ の2点で、具体的には土砂などで汚染している場合は生理食塩水か水道水で洗い、生理食塩水を浸した清潔なガーゼに包んでビニール袋に入れます。そしてこれを氷水を入れた容器に入れて持参して下さい。このとき、指を直接氷水の中につけると浸軟し、冷たすぎると凍結してしまいますので、注意して下さい。

Q.打撲をしたときの対応は?

A.軽度の場合は水でよく冷やす、または、氷水を袋に入れて冷やします。中程度の場合は冷やした後、冷湿布剤を貼布します。それ以上または少しでも判断がつきかねる場合は、保護者、医師に連絡してください。

 

[歯科関連]

Q.むし歯が突然痛くなった場合、冷やす以外に学校でできる応急処置は?

A.痛みの原因となる疾病によってその応急処置は異なり、「冷やす」処置が適切でない場合もあります。大切なことは冷やしたり痛み止めを飲んだりして症状は和らいでも痛みの原因であるむし歯自体は悪化していること、むし歯は初期のむし歯(CO)を除いては不可逆的な病気であることを再認識してください。一刻も早く適切な治療を受け、むし歯の原因となる食生活習慣、口腔衛生習慣などを見直し、むし歯や歯肉炎を作らない口腔環境を整えられるような子どもたちを育てることが重要です。

Q.歯を打撲し、歯根がむき出しになっている場合、受診するまでにすべき応急処置は?

A.ご質問の状態は歯が前後的に移動した不完全脱臼と思われます。この場合の多くは軟組織の損傷を伴い出血していることが多いので、まずは滅菌ガーゼなどで圧迫止血あるいは血を拭きとり良く観察した上で、歯を元の位置に押し戻します。このことで、予後もよく、止血にもなります。あとは速やかに学校歯科医またはかかりつけ歯科医に連絡し、受診することが望まれます。

 

[眼科関連]

Q.アレルギー性結膜炎で点眼薬を使用していても、かゆみがひどいと低学年児童では我慢できず、目をこすってしまう。目を冷やして様子を見るが、何かよい方法がないか?

A.冷やすことにより、かゆみは緩和されますが、冷やし過ぎないよう配慮してください。また、医師の処方による点眼薬を持参している児童生徒には、これを使用しても良いでしょう。目をこすり続けると白目が膨れてまぶたからはみ出すことがあり、このような場合は眼科を受診させ適切な治療を受けた方がよいでしょう。

Q.眼にコンパスの芯が刺さったときの受診までの応急処置は?

A.コンパスの芯が角膜にささった場合、または確認できなくても疑われるときは、絆創膏で清潔なガーゼを軽く当てるだけにして、すぐに病院の眼科を受診させてください。角膜の穿孔は失明につながる重傷の眼外傷ですので、扱いには細心の注意が必要です。

 

[熱中症]

Q.熱中症の場合の救急車要請をする基準は?

A.1.意識はしっかりしているか? 顔色、目つきはどうか? 質問・声かけに的確な反応があるか?
2. 休ませる、冷水を飲ませる、涼しいところであおぐ、などで、意識の回復、望ましい反応が得られたか? 心拍数・脈は、速やかに落ち着いてきたか? 呼吸数はどうか? 過呼吸はないか?意識はしっかりしてきたか?
3. これらを確認して、改善する傾向がないならば速やかに救急車を呼んでください。救急車が来るまで、処置は継続して行ってください。

 

[乗り物酔い]

Q.長時間のバスでの移動中、はげしい嘔吐を伴うバス酔いに、どんな処置が必要か?

A.乗り物酔いは予測しない慣れない刺激を繰り返し受け続けるため脳が混乱して起こる症状です。進行方向の景色が良く見える前から4、5番目の席に移動させ、窓を開け、横にし、ベルトや衣服を緩める、腹式呼吸、頭を冷やす、等を行います。服薬も有効です。前日の睡眠、食べ過ぎないことも予防として大切です。

 

[その他]

Q.海で何に刺されたか分からないが、かゆみと腫れがあるとき、注意すべき点は?

A.まずクラゲ刺傷を疑います。クラゲの触手が接触した部位に突然疼痛、発赤、腫脹が出現します。こすらないように、海水で洗います。毒魚に刺された可能性があるなら、45℃くらいの湯につけると痛みが和らぎます。いずれにしても症状がひどければ医療機関で治療を受けます。

Q.登山中、蜂に刺された。すぐに対応すべきことは?

A.蜂に刺された部位に針が残っていれば除去し、吸引器があれば蜂毒を吸引、なければ水で洗って、冷やします。すでに数回刺され、アレルギーがある場合はアナフィラキシーショックを起こすので、早急に医療機関で処置を受けます。また事前にエピネフリン自己注射を携帯することを勧めます。

Q.胃痛、腹痛、下痢のときの応急処置は?

A.原則として安静だけにします。やむを得ない場合は整腸剤(下痢止めでない)程度の服薬にとどめてください。少しでも様子がおかしい場合は医師に連絡をしてください。

Q.てんかんの発作は様々な症状があるが、救急車を要請しなくてはいけない場合は、どんなときか?

A.確かに、てんかん発作は様々ですが、学校での発作は、以前にも同様の発作を繰り返し、保護者と学校の間で情報が共有されているものが多いと思われます。その情報の範囲内で、しかもせいぜい1〜2分で発作が治まるものは安静を保ち、保護者に連絡し、対処してもらいます。しかし、発作が繰り返し継続するもの(重積状態)は救急車を要請、医療機関へ搬送する必要があります。また、思春期前後ではじめて出現した発作は、脳の血管異常(動静脈奇形)によるものがあり、専門医による精査が必要になります。

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