第1回「健康診断」

むし歯治療率の悩み

K そうですね。診断は校医さんの個性というか基準にもよりますね。乳歯だから多少のむし歯は経過観察でいいだろうという先生もいれば、乳歯であってもきちんと治療すべきだという先生もいますしね。治療率の悩みはありますか。

B 本校の学校保健委員会で必ず話題になるのがむし歯と肥満で、何とか改善したいと思っています。しかし治療率は悪いわけではないのです。でもデータ上は非常に悪いことになっています。どういうことかというと、地域の大半が三世帯同居で、親が一生懸命ケアをしても、おじいちゃん、おばあちゃんが甘いものをひっきりなしに食べさせてしまうんです。治したそばからむし歯になるという繰り返しなんです。ですから治療はしているのだけど、肥満とむし歯が改善しないという悪循環ですね。これは地域の特徴だと思います。大きな道路を挟んだ向こう側は市の中心部により近い地域ですが、中心部ほど健康に関する意識が高いという印象です。

A 私の学校では治療率は悪くないと思いますが、同じ子が治療しないでずっと残っているんですね。治療しないので歯などはどんどんむし歯が増えていってしまいます。乳歯が抜けて一旦はむし歯の本数が減るんですけれども、そういう子はいずれ永久歯がむし歯になるので、結果は同じです。そういう子にどう働きかけていけばいいのかという問題を今抱えています。

C うちの学校も、全体の治療率は6割くらいです。前の学校もそのくらいで、なかなかそれ以上にならないのが現状で、いい手立てがないかと思っています。A先生のところと同じで、治さない子は健診で毎年同じところを言われています。

K 医療費の助成はありますか。

B 就学援助の子だけはあります。

A うちも就学援助の子だけです。

K そこがやはり保護者にしてみれば、健康診断で病院にかかるように言われたからかかったのに、何ともなかったとなると気分は悪くなりますよね。お金の問題だけじゃなく時間も取られますしね。その点、本校のある地域は小・中学生の医療費は助成があって無料なんですけれども、無料でなくても歯科などは行けば行ったで磨き方の指導などもしてもらえるし、決して無駄ではないんですが。そういうことも含め、学校健診はスクリーニングだということを納得してもらえるといいんですけどね。見落とすよりは絶対いいですので。