成長曲線〜学校での成長曲線の活用〜
 
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AEDの設置

【衞藤】それでは学校においてAEDがどういう状態になっており、それをどう活用すればいいのかというところから話を進めていきたいと思います。実際に複数台設置している学校もあるかもしれませんが、どういうところにあるのでしょうか。

【木村】本校はまず体育の時間に危険が起こり得るだろうということで体育館の1階に置いてありました。私は本校に転勤してきて7年目ですが、2年前の事件を基によく考えてみると、新入生が入ってきた時に校舎見学をしますが、5年前ほど前から必ずここにAEDがあるということを生徒たちに意識づけをしていました。事件後には、もしかしたら教室棟の方でも危ないということで別に1台を購入して教室棟の生徒の昇降口、職員の昇降口の近くに2台目として、そして昨年ですが自動販売機を購入する関係で、これはAEDとは関係ないのですが、この自動販売機を購入するとAEDが無料で付きますというのがあり、体育館の入口と生徒玄関の入口、さらに職員室に1台と、現在本校では3台あります。

【衞藤】さいたま市の学校では、どんなところに置いていることが多いでしょうか。

【辻野】私は保健室訪問で学校へ行くのですが、その中では職員室の玄関や保健室の窓際にあって、外からも取れるように見えるところに置いてありました。またプール等のこれからの時期には、いつもある場所からどこに移動したということを、例えばプールに持って行っていますなどということを掲示したりしていました。

【衞藤】道幸先生は前任校の足立区や今の学校ではどうなっていますか。

【道幸】現任校では中学の職員玄関に一台、体育館の入り口に一台、守衛所に一台、同敷地内の高校校舎に一台設置されています。やはり、多数の人の目に触れる場所においてあります。前任校では昇降口にやはり1台。3、4年ほど前から区で普及がすすんできたのか夜間、社会体育の方々がグラウンドを使ったり、体育館を使ったりする時に校舎内はもう施錠されている状態なので、そういった方が使えるようにグラウンドに1台。それから例えば、部活動の試合やプール、宿泊行事などに持ち運べるポータブル型のものが職員室に1台ありました。AEDの設置がここ数年で進んでいるという印象は受けていました。

【衞藤】坂本先生、今の学校における状況をお聞きになってどうでしょう。

【坂本】5年前、6年前に比べると隔世の感があると思います。大変皆さん、素晴らしい取組をされておられると思います。まず、学校の中でAEDが使われる対象としては、もちろん児童生徒が一番大事なのですが、教職員が倒れるということもありますので両方の場合を考えておく必要があります。特に児童生徒に関して言うと一番危ないのは運動をしている時で、その中でも特に心拍数の上がるような運動です。先ほど100m走やマラソンの話がありましたが、それ以外にも例えば、水泳などもやはり心拍数が上がるというのが危ない状態になります。それからもう一つ、コンタクトスポーツや球技でも、胸にボールなどの衝撃が加わるとそれが刺激となって不整脈が起こる、いわゆる心臓震盪と言われている病態がありますので、これを想定しておく必要があります。先ほどAEDの置き場所のお話がありましたが、基本的にはまず一番の大きな方針として、心臓が止まったら必ず5分以内に使えることを考える。ただし、5分以内だったらいいということではなくて、30秒でも1分でも早ければ早いほど効果は大きいので、少しでも早くということを考えていただきたいと思います。例えば、マラソン大会ならスタート・ゴール地点に準備したり、球技大会では校庭のテント内に準備するなど、やはり運動をしている現場に近いところに持っていっておくということが一つ。それからもう一つ、運動をする場所以外にも校内のどこで起こってもいいように、比較的アクセスのいい場所にわかりやすい表示で、誰もが取ってこられる場所に置くことが、これは恐らく教職員が倒れた時なども含めて有効なので、その二つのことを考えて設置をしていただくと非常にいいのではないかと思います。まさにそういうお考えで皆さん、設置されているという話を伺って、教育現場では大分啓発が進んでいるなと思いました。

【衞藤】坂本先生、AEDは機械ですから動くはずのものが整備不良で動かないとか、そういうケースはあり得るのでしょうか。

【坂本】あります。古いAEDで4、5年前、10年前のものがそのまま点検されずに置かれていて、持ってきたけれどバッテリーが切れていたりとか、パッドも何年も経つと粘着力がなくなって貼れなくなっていたり、そういう事例が報告されています。AEDの機械は自動的に内部のチェックを行うようになっていて、バッテリーの残量がないなど、異常があればバツマークが出ますので、AEDをせっかく準備していただいているのであれば、管理の担当者を決めていただいて、1日1回、難しければ週に1回でも定期的な点検として、異常の印が出ていないかを見ていただきたいと思います。

【衞藤】そういう点検はどのくらいの頻度でやればいいことのでしょうか。

【坂本】医療機器なので本来であれば毎日と言われていますが、昨日大丈夫だったものが今日急にだめになるということも確率的には少ないので、できれば週に1回、少なくとも月に1回ということになるかと思います。

【衞藤】そんなこともあるということを設置した者が認識していることは大事ですね。

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