第21回「冬の保健指導」

■感染性胃腸炎の対応

 これからの季節、インフルエンザとともに心配になってくるのがノロウイルスやロタウイルスなどが原因となる感染性胃腸炎です。手洗いについてはこれまでにもお話をいただいてきましたが、嘔吐物の処理でもいろいろ悩まれたりされているところもあるのではないでしょうか。これは子どもたちへの指導というよりも教職員への声かけとなるでしょうか。嘔吐物の処理の仕方など、教職員間でどのように共通理解を図っていらっしゃいますか。

熊木 前任校では、高等部の木工の授業で結構おがくずが出ていました。それを保健室でいただいてバケツみたいな容器に保管しておき、それを嘔吐物にかけると結構水分を吸収してくれるのです。その上から新聞紙等で覆って次亜塩素酸ナトリウムの溶液をかけて蓋して、時間を経てから回収という形にしていました。固める薬剤とかいろいろ売っているのですけれど、予算がないのでそういう形で代用したりしていました。

 おがくずは、消臭の効果などもあると言われていますね。消毒液の濃度の調整も伝えるのが難しいと思っていたのですが、前任校に勤務していたときに保健所の方が教えてくださったのが500mlのペットボトルに水を入れてペットボトルの蓋2杯分の漂白剤等を入れるとちょうどいい濃度になると教えていただき助かりました。

池田 熊木先生からいただいた資料のなかのと一緒ですね。

 そうですね。私もこの方法が一番分かりやすいと感じました。この方法であれば家庭でもそうですし、教職員の方にも説明しやすいと思いました。校内や教室での感染ももちろん注意が必要ですが、家庭で誰か感染すると家族全員に感染しかねないので。

石村 そうですね、下痢の子どもはやはり注意しなくてはいけないと思っています。今年度は耐震工事をしており、使用できるトイレの数が限られているのですが、昨年度までは保健室前のトイレを大便専用にしていました。そうしますと、私の方でもトイレに入っていったことが把握できますし、子どもが出てきた時に柔らかいうんちだった、普通のうんちだったということが訊くことができます。担任から今、保健室前のトイレに行きましたと連絡も入りました。保健室前のトイレの近くは、ほかの教室がなかったのでわりとゆっくり入れるということもあり、担任の先生も児童がお腹痛いからトイレに行くという時には保健室前のトイレに行っておいでと声をかけていました。また、児童が使ったあとは私の方でトイレ内を確認に行き、汚れていればすぐ消毒できるという利点もありました。

 トイレからの感染の広がりを防げますね。

石村 本校は上履きで、トイレも普通に入っているので、そうしますと上履きの底に付いているものがそのまま教室に運ばれ、それを子どもたちが素手で掃除をするというようなことになります。そういうところから広がっていってしまうので掃除のあとも十分な手洗いが必要です。担任の先生からもよく指導してもらっています。

 手洗いでは石鹸を通しての感染を防ぐ意味で石鹸の形状にも気を使いますね。

熊木 草加分校は生徒数が少ないので、予算内で対応できるため、泡で出てくるタイプの石鹸を使用しています。石鹸を泡立てるという動作が難しかったりもしますので。

石村 本校は普段は固形の石鹸ですが、感染性胃腸炎が一人でも出たら、液体石鹸に切り替えるという形をとっています。

吉井 本校ではコストがかかりますが、介助用ということでペーパータオルを使用しています。石鹸は液体です。ノロウイルス対策としては、各教室にマスク・手袋・エプロンをセットにしたものを配置しています。また、嘔吐した場合、最後の嘔吐から24時間は登校を控えてもらいます。そうすると学校で嘔吐することは少なくなり、流行も抑えられています。洗面台や洗濯機も使用目的で分けて使用しています。

池田 ノロウイルスは第3種のその他の感染症に入っているので即出席停止ということではなく、状況によって学校長が指示するという部類に入っていますね。高校などは出席が進級に関わってくることもあって、例えば、いろいろな理由で欠席が多い生徒は無理して来ちゃうことがあるんです。でもそうすると、高校生なのであまり吐くところまではいかないんですけれど、感染を広げることがあることや電車に乗ったり、お店に寄ったりしながら学校に来るので、そういうところで吐くとかトイレを使うことで地域の人たちに感染させるようなこともあるのではと学校長と話をしまして、出席停止にしましょうという判断をいただいてやっております。各学校の実情に合わせて学校長とも話をしていくことが大事だと思っております。

岡本 中学校でも、吐くことはそう多くないのですが、ノロウイルスは感染力が強いですし、毎年、市教委からも注意喚起を呼びかける通知もあるので、本校では、教職員の共通理解のもと出席停止として扱っています。嘔吐物対策としては、職員室と保健室に処理セット(マスク・ビニール手袋・消毒液、新聞紙、ビニール袋等)を置いています。職員には素手で触らないように注意・徹底をしています。

 小学生は感染症に限らず、嘔吐症状が出ることが多いです。給食中、食器に嘔吐してしまった場合など場面別に適した処理方法をお願いしていくことになります。処理セットの準備を整えた上で、様々な場面に応じて、まずは校内の先生方に正しい処理方法を知っておいていただかないといけないということになりますね。

草加かがやき特別支援学校草加分校 熊木美香先生提供

     

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