第16回「今後の健康診断」

健康診断の各分野の課題

検討会では眼、耳鼻咽喉、歯・口腔の各分野が抱える課題が整理されたということですが、まず、眼の領域から、留意点をお願いできますでしょうか。

 眼の領域では、色覚検査とコンタクトレンズが課題として上がりました。

色覚検査は、学校の健康診断の必須項目から削除されてほぼ10年が経ちます。検討会では、一度も色覚の検査を受けたことのない子どもたちが卒業を迎えたことにより、自分に異常のあることを知らないまま、色覚に制限のある学校への進学や就職に際して初めて知ることとなり、進学や就職希望を断念せざるを得なかったという事例が報告されました。ただ、色覚検査は完全に学校の健康診断からなくなったわけではなく、保護者や本人の同意を得て、希望者に行うことになっています。しかし、色覚についてよく知らない家庭があったり、見え方について他人と比較できるものでもないので、色覚の問題ではなく視力の問題だと思い込んでいたりして、色覚検査を希望するに至らないこともあります。そこで、検討会では色覚検査の基本的事項の積極的な周知と実施体制の整備が重要であることについて、意見がまとめられました。

なお、色覚検査の実施に関しては、学校や自治体によっては、学校で行ってはいけないものと捉えていることもあります。色覚検査を希望する子どもに対しては学校で検査できることについて、文部科学省としても周知を図っていきたいと思います。

 次にコンタクトレンズですが、不適切な使用で眼疾患が増えているという現状があり、コンタクトレンズの適正使用の周知が今後一層求められることになります。

耳鼻咽喉科の領域ではいかがでしょうか。

聴覚の検査

 耳鼻咽喉科領域では、専門性に長けた医師が健康診断を行うことが適当であるということ、また、耳鼻咽喉科は他の学校医に比べて専門医の数が少ないことから今後は地域内にとどまらず地域を超えた連携も重要であることが課題としてまとめられました。また、この領域では、検診での聴覚異常や言語異常などのコミュニケーション障害の発見にも触れられていますが、そのためには子どもたちが検査の指示にきちんと従うことが非常に重要となります。しかし、発達障害のある児童生徒には検査の工夫が必要であるため、それらが課題としてあがってきました。

 

歯と口腔の領域ではいかがでしょうか。

 歯と口腔の領域では、歯科検診は、「疾病発見型のスクリーニング」ではなく、「健康志向(健康増進)型のスクリーニング」であることに意義がある、ということで、生活習慣の予防という観点にも注目し、健康相談や保健指導と関連させながら歯科検診のさらなる充実を図ることの必要性と、歯列咬合や顎関節が直接関わっている「食べ物を取り込み、食べる」機能、「表情をつくり、話す」機能、「運動をささえ、体のバランスをとる」機能など生活の質に関係するということから今後の課題として取り上げられました。

検討会ではほかにも「学校病」についてまとめられていますが。

 いわゆる「学校病」については、制度の廃止や項目の追加などいろいろな意見がありましたが、検討の結果としては、「学校病」は現行のままで存続する、ということになりました。「学校病」に指定されている疾患であっても、なかなか通院に結び付かないケースもあったり、また、治療とともに生活習慣の改善が必要なケースもあります。「学校病」であるか否かに関わらず、健康への関心を高めることが課題であることが示されました。