第13回「学校での食物アレルギー・アナフィラキシー対応」

2.食物アレルギー・アナフィラキシーに対する学校での留意点

2-1事故が起こる前に

学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン

 基本的には、日本学校保健会発行の「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」に記されていますので、教職員間での共通理解に努めるようにしてください。

 中には自治体などで独自のマニュアルを作成し、それにしたがって対応している学校もありますが、「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」の内容を理解していないと事故があった場合に十分な対応につながりません。市区町村全体で共通認識をもち、学校医はもちろん地域の医師会とも連携したシステム化が必要です。

 いま、市(区町村)の教育委員会では、管轄内の学校にエピペンを所有している子どもがどれくらいいるか把握しているでしょうか。アレルギーのある子どもの個別のプランニングはできているでしょうか。市区町村教育委員会からの統一した指導もなく、現場の学校任せになっていないでしょうか。学校医や医師会へ相談できるような仕組みができているでしょうか。これらは事故が起こる以前の問題です。

2-2食物アレルギーの正しい理解

 こういう事例があります。牛乳が原因食物の食物アレルギーだというある児童の保護者から提出を受けた学校生活管理指導表を基に、学校はその児童に対して給食の牛乳を除去する対応をとっていたところ、ある日、その児童が誤って牛乳を飲んでしまい、教育委員会を巻き込んでの大騒ぎになりました。よく調べてみると、普段から乳製品の入っている給食は食べている、牛乳だけを除去していた、その飲んだという事実だけで騒ぎに発展した、ということでした。

 実は、学校生活管理指導表の提出も必要のない子どもだったのです。

 ガイドラインをよく読んでいただければわかるはずなのですが、食物アレルギーの場合、学校生活管理指導表はアナフィラキシーを起こす可能性のある子どもへの対応を検討する手段として提出されるものであって、緊急性を要しない程度の子どもにまで求めるものではないのです。学校生活管理指導表を使っているけれど、ガイドラインをよく読んでいない、学校生活管理指導表だけが独り歩きし、診断書代わりにやり取りされている一例です。このように食物アレルギーに対する正しい知識や、アナフィラキシーの際の緊急性の意味を理解されていない教育委員会や学校の方が多いのではないでしょうか?

2-3子どもがアナフィラキシーを発症したら

 食物アレルギーのある子どもがアナフィラキシーを発症した時に大切なことの一つとして、現場では必ず情報を共有し連絡を取り合って対応をするということです。もちろん、患児の状況をすばやく把握し、前述した1-5のような状況の場合にはエピペン®を使用するというのは当然なのですが、必ずエピペン®が傍にあるとはかぎりません。最初に対応した先生が一人で動き回っている間に、他の先生が駆けつけ、患児の安静を保つのが最優先のところ事情がわからずに気分が悪いといわれるまま患児を動かすという事態は避けねばなりません。

 そういうことがないように、普段から子どもに関わる全ての教職員の皆さんの間でアレルギー疾患に対しての共通の認識をもち、もし、事故が起こった場合に適切な対処がとれるようにしておいてもらいたいということです。

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