第10回 児童生徒の保健委員会活動事例
 

対話を通じて学び合う健康教育
−「対話形式の保健便り」を用いて−

群馬県立桐生女子高等学校
広田 理絵

1 はじめに(学校概要)

 本校は、自然豊かな環境にある創立105年の女子校です。素直で積極的な生徒が多く、地域の進学校として、また学校行事や部活動の盛んな学校として知られています。
 そのため、生徒の学校生活は忙しく、委員会活動ができるのは昼休み等のわずかな時間だけです。今回は、本校の生徒保健委員会活動のうち、特徴ある取組として23年度と22年度に実施した「対話形式の保健便り」の作成についてご報告いたします。

2 活動のねらいと特色

 「対話形式の保健便り」は、次のような教育観に基づいています。

 ・学びは単なる知識の集積ではなく、関連づけて理解することが大切である(世界づくり)
 ・学びは個人的なものではなく、大人や仲間と共同で行うものである(仲間づくり)
 ・他者に貢献する中で、学び・居場所・アイデンティティが確立される(自分づくり)

 そのために、「対話形式の保健便り」を通して次のような工夫をしました。

(1)言語を使って対話しながら、生徒の思考力・判断力・表現力(ヘルス・リテラシー)を育てることのできるテーマを選定した。

(2)学びの過程を形にして残し、かつ所属集団に貢献する活動として保健便りを活用した。

(3)思考と対話の過程を保健便りにして配布し、他の生徒も追体験できるようにした。

 

3 活動内容

 「対話」は少人数のグループで行います。初めに養護教諭がテーマを提示し、生徒各自が2〜3日間検討した後、30分程度話し合いを持ちます。話し合い内容から、再び養護教諭が新しい課題を提示し、1〜2日間各自で検討した後、再度話し合います。
 話し合いは、授業のように黒板に内容を整理しながら進みますので、板書した内容が保健便りになります。養護教諭が保健便りにして、生徒が内容を確認した後、発行します。
 テーマは1回毎に独立していますが、さらに年度を通じた大テーマがあります。23年度は、保健・医療・福祉に関連した「道徳的ジレンマ」を題材にして、「自由 対 自己責任」「自由 対 美徳・善」について話し合いました。22年度は、「生き生き生きる」ことを解き明かす「健康生成論」が大テーマになっていました。なお、23年度と22年度のテーマは表1のとおりです。
※実際に発行した保健便りは、本校HP http://www.kirijo-hs.gsn.ed.jp/ 「保健室より」の中に掲載していますので、ご参照ください。

表1 保健便りのタイトル

23年度「道徳的ジレンマ」 22年度「健康生成論」
・これからの「正義」の話をしよう
・アリはキリギリスを助けるべきか
・社会的ジレンマ
  〜個人の小さな利益と全体の大きな利益〜
・エイズ治療薬は、誰のものか
・健康によくないことをする自由はあるか
・その自己決定は、ホンモノか
・積極的自由と消極的自由
・beの解剖
・不満と満足
・人と人とのつながりを
・未来とのつながり
・仕事は日本人の生きる歓び
・健康生成論 〜健康の謎を解く〜 <1>
・健康生成論 〜健康の謎を解く〜 <2>
・学びのしくみ“問いと答え”
・“視る” 〜上医は国を診る〜
 

4 結果と今後の課題

 この活動について生徒からは、「重要だけど授業では取り上げられない内容が書いてある」「生徒の声を聞き入れた内容でよい」などの意見が聞かれました。
 今後は、保健委員が他の生徒の実態等を考慮して、自らテーマを選定できるように支援していきたいと思います。

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