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色のバリアフリーを理解するためのQ&A

1)色覚異常についてのQ&A
Q1. 色の見え方には個人差があるのですか。
Q2. 色覚異常では色がまったく分からないのですか。
Q3. 「色覚異常」とは「色盲」のことですか。
Q4. 先天性の色覚異常のほかに色覚異常があるのですか。
Q5. 先天色覚異常のなかでも違いがあるのですか。
Q6. 先天赤緑色覚異常の人はどの位の割合でいるのですか。
Q7. 先天赤緑色覚異常では色はどのように見えるのですか。
Q8. 日常生活で注意することを教えてください。
2)学校における色のバリアフリーについてのQ&A
Q9. 教職員としての心構えがありますか。
Q10. 授業で用いる教材について注意することはどんなことですか。
Q11. 文字と背景との組み合わせの良い例を教えてください。
Q12. 黒板が見えにくいと聞きますが、注意しなければならない点は何ですか。
Q13. グラフで注意しなければならない点は何ですか。
Q14. 採点や添削で配慮することはありますか。
Q15. 授業のときに配慮することはありますか。
Q16. 理科の実験や観察などで配慮することはありますか。
Q17. 図画工作や美術の授業で配慮することはありますか。
3)進路指導についてのQ&A
Q18. 理工系、医歯薬系大学への進学は可能ですか。
Q19. 進路指導で留意することはありますか。

1)色覚異常についてのQ&A

Q1. 色の見え方には個人差があるのですか。

A 私たちは、それぞれ顔や考え方が異なっているように、色の見え方や感じ方も同じではなく、個人差があります。
 その個人差が大多数の人と比べて大きく、色覚の検査で異なる結果を示す人は、医学的に「色覚異常」と診断されます。つまり「色覚異常」とは、色覚の個人差を表す医学的名称といえます。

Q2. 色覚異常では色がまったく分からないのですか。

A それは誤解です。色の感じ方は他の大多数の人とは異なっていますが、白黒の世界ではありません。

Q3. 「色覚異常」とは「色盲」のことですか。

A 先天性の色覚異常は、かつて「色盲」ともいわれていました。しかし、「色盲」という言葉は,色がまったく分からないと誤解されやすいため適切な言葉とはいえません。

Q4. 先天性の色覚異常のほかに色覚異常があるのですか。

A 「先天色覚異常」のほかに「後天色覚異常」があります。
 「後天色覚異常」とは、目の病気によって色の見え方が変化した状態をいいます。網膜の病気や緑内障、白内障など、さまざまな病気が原因となり、色覚異常のほかに視力が低下したり視野が狭くなったりします。

Q5. 先天色覚異常のなかでも違いがあるのですか。

A 「先天色覚異常」の多くは,先天性の赤緑色覚異常です。他にいくつかの種類がありますが、いずれもごくまれです。一般に、色覚異常というと、「先天赤緑色覚異常」をさしています。

Q6. 先天赤緑色覚異常の人はどの位の割合でいるのですか。

A 日本人ではおよそ男性の20人に1人、女性の500人に1人、つまり、クラスに1人はいる可能性があります。

Q7. 先天赤緑色覚異常では色はどのように見えるのですか。

A ものを見ること自体は他の人と変わりませんが、色の組み合わせによってときどき似て見えることがあります。似かよって見える色の組み合わせ例を図1に示します。
 鮮やかでない色や暗い環境、見るものが小さい場合などでは、より似かよって見えます。

図1
図1サムネール
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注: 図1の色は、ごらんのパソコンの環境や室内の照明などにより
 変化するため、正確には表示されないことがあります。

Q8. 日常生活で注意することを教えてください。

A 洋服などは、ハンガーとハンガーとの間からでは暗く、見える面積も小さいので、1着ずつ取り出して明るい環境下でゆっくり見ましょう。冷蔵庫や戸棚などもうす暗いと色を間違えやすいので、照明を明るくしましょう。箸、タオル、歯ブラシなどは、手触りやかたち、模様など、色以外の情報で見分けられるようにしましょう。

2)学校における色のバリアフリーについてのQ&A

Q9. 教職員としての心構えがありますか。

A 教職員のひとりひとりが、色の見え方が他人と異なる児童生徒にも不都合のないよう、教育活動の全般にわたって児童生徒に接することが重要です。
 そして、色の見え方が他人と異なる児童生徒が特別視されたり劣等感を抱いたりすることのないよう常に配慮し、どの児童生徒も将来に希望をもち、自己の個性・能力を伸ばすことができるよう指導してください。教職員の不用意な対応で児童生徒を傷つけるようなことがあってはなりません。
 みんなが見やすい色環境について、正しい理解がなされ、、色の見え方が他人と異なる児童生徒が不利益を受けることのない社会をめざしましょう。

Q10. 授業で用いる教材について注意することはどんなことですか。

A 色の判別を要する掲示物、スライド、OHP、コンピュータなどの表示や教材を用いる場合は、一画面に用いる色の数をなるべく少なくしましょう。できれば、3色までが適切です。そして、明暗、大きさ、模様を変えたり、色名を告げたりするなど、色以外の情報を加えてください。

Q11. 文字と背景との組み合わせの良い例を教えてください。

A 明るさのコントラストがはっきりわかる色の組合せにしてください。とくに、赤と黒の識別が難しいことがあるので、黒や濃い青の背景に赤の文字は避けるようにしましょう。暗い背景には明るい黄色や白を使用しましょう(図1)。
 色刷りの資料は白黒のコピーをしても判別できるものがよいでしょう。

図2
図2サムネール
※画像をクリックすると拡大表示します。

Q12. 黒板が見えにくいと聞きますが、注意しなければならない点は何ですか。

A 黒板では、白と黄のチョークを主体に使い、赤、緑、青、茶色などの暗い色のチョークは見えにくいため使用を避けるようにしましょう。
 白と黄以外の色チョークを使用する場合には、色名を伝え、太めの文字や線で、大きく、はっきり書き、色分けをした区域には境界線をはっきり示し、白チョークでアンダーラインや囲みをつけたり、文字や記号を併記するなど色以外の情報を加えてください(図2)。

図3
図3サムネール
※画像をクリックすると拡大表示します。

Q13. グラフで注意しなければならない点は何ですか。

A 円グラフや棒グラフなどでは、境界にはくっきりとした線を入れ、凡例は各領域に直接示しましょう。淡い色の組み合わせは避け、鮮やかで明るさの異なる色を組み合せてください。模様(斜線や水玉など)をつけたり数値を記入するなど、色以外の情報を加えるのも分かりやすくなります。折れ線グラフでは、線は太く、実線と点線または太さなどを使い分けましょう。マーカーはなるべく大きく、色のみでなく形状も変えましょう。(図4) (図5)。

図4
図4サムネール
図5
図5サムネール
※画像をクリックすると拡大表示します。

Q14. 採点や添削で配慮することはありますか。

A 赤ボールペンは細く色が暗いので避け、色鉛筆や採点ペンなど太く明るい色を使いましょう。

Q15. 授業のときに配慮することはありますか。

A 色覚異常の場合は、特定の色が他の人とは異なる色合いに感じたり、色の違いがわかりにくいことがあります。多色刷りの教材を使うときには、色の名前で見分けさせるような説明をしないでください。色の見え方が他人と異なる児童生徒も戸惑わないように、ものの名前で表現したり、形や位置などを説明したり、指示棒を用いたりするなどの配慮をしましょう。

Q16. 理科の実験や観察などで配慮することはありますか。

A 花の観察、植物の成長や季節による変化、花や葉の色の違いなどについての観察学習では、色覚異常の場合は赤い花や実などが濃い緑の葉と同じように見えて判別しにくかったり、土の中から発芽する様子が見えにくかったりすることがあります。そこで、指導の際には花などの位置を具体的に指しましょう。
 また、理科の実験・観察・実習については、自然界の色や社会で決められている色使いも多く、その場合は大多数の人にどんな色に見えているかを理解することが大切です。具体的に指し示しながら色の名前を教えると、色の見え方が他人と異なる児童生徒も、色についての知識が得られ、学習に役立つことがあります。

Q17. 社会の授業で配慮することはありますか。

A 地図を用いた学習では、等高線ごとに色分けされた部分や鉄道・道路・河川・境界線など、色名だけでの説明では理解しにくいことがあります。地図に表示されている内容の指導にあたっては、位置や形を説明したり指示棒で示したりするなどして、色以外の情報を明確に伝えましょう。社会で決められている色使いの場合は、色の名前を教えながらの指導も有用です。
 また、白地図を色鉛筆で塗り分ける作業、地形図や空中写真などの微妙な色の見分け、多くの色が用いられたグラフの読み取りも難しいことがありますので、配慮を心がけましょう。

Q18. 図画工作や美術の授業で配慮することはありますか。

A 色覚異常の場合は、他の児童生徒と異なる色合いの表現をすることがありますが、それに対しても自然に受け入れ、過剰な反応をしないように気をつけましょう。図画工作や美術の表現は個々の色彩感覚や感じ方を大切にし、見え方の違いについては、むしろ個性として認め、創造的能力を高めるように指導しましょう。
 図画工作や美術の造形的な表現活動の評価・評定に当たっては、色彩などの個性的な違いにとらわれることなく、造形表現への取組の意欲・態度を含め指導過程全体にわたって総合的に評価し、児童生徒の学習意欲を高めるようにしてください。
 一方、色彩に関する学習を行う際には、色名を正しく伝え、色には微妙な違いがあることを教えましょう。

Q19. 体育の授業で配慮することはありますか。

A 鉢巻きやビブスなどは多くの色が用いられ、なかには色覚異常の場合には似かよって見える色もあります。競技などに用いる場合には、色の組み合わせに配慮しましょう。体育館に引かれたラインなども、床や重なり合ったラインと見分けにくいことがありますので注意してください。見分けにくい色の組み合わせはQ7の図1を参照してください。

3)進路指導についてのQ&A

Q20. 理工系、医歯薬系大学への進学は可能ですか。

A 理工系、医歯薬系大学への進学は、原則として可能ですが、募集要項は確認しておきましょう。

Q21. 進路指導で留意することはありますか。

A 飛行機のパイロットや警察官など、色覚により制限を受ける場合があります。制限は見直しが行われていることもありますので、その都度、確認が必要です。

*1 平成15年文部科学省『色覚に関する指導の資料』より
*2 平成19年度色覚バリアフリー推進委員会

用語についてのおことわり

「色覚異常」は学術用語です。「異常」という言葉には抵抗を感じる人が多く、現在、社会ではさまざまな言葉に置き換えようとする動きがみられています。「色覚障害」という表現も用いられますが、「障害」という言葉からハンディキャップを有する意味合いをさらに強く感じる人がいることも事実です。日本眼科学会においても「色覚異常」という用語について検討が重ねられてきましたが、学術的に正しく,かつ,誰にも精神的負担を感じさせない新しい用語をまだ生み出せていないのが現状です。

このような事情をふまえ、このQ&Aでは学術用語としての「色覚異常」という表現を使用しています。ご理解いただきますようお願いします。

財団法人日本学校保健会が文部科学省補助金により実施している「学校保健センター的事業」として、下記の委員会が編集作成した。

平成19年度色覚バリアフリー推進委員会

◎ 委員長
  青 木 孝 浩 栃木県宇都宮市立一条中学校 教諭
  宇津見 義 一 社団法人日本眼科医会 理事
  大 橋 洋 一 都立国際高等学校 非常勤講師
北 原 健 二 東京慈恵会医科大学 名誉教授
    社団法人日本眼科医会 副会長
  串 田  工 千葉県市原市立若宮小学校 教諭
  小 関 勇 次 千葉県立東葛飾高等学校 教諭
  坂 下 恵 子 神奈川県横浜市立神奈川小学校 教諭
  佐藤  勇 埼玉県草加市立長栄小学校 教諭
  鈴木 高遠 神奈川県眼科医会 理事
    ちぐさ眼科医院  
  千葉 吉裕 東京都立晴海総合高等学校 教諭
  中村 かおる 東京女子医科大学眼科 非常勤講師
    所沢中央病院眼科
  濁川 こず枝 群馬県桐生市立北中学校 養護教諭
  宮浦  徹 社団法人日本眼科医会 常任理事
  山坂 浩子 山梨県教育委員会スポーツ健康課 指導主事

 なお、報告書の作成にあたり
岡田 就将 文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課専門官

 のほか、下記の方々に多大のご援助とご助言をいただきました。
今関 豊一 文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課教科調査官
北垣 邦彦 文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課健康教育調査官
采女 智津江 文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課健康教育調査官
成瀬 幸宏 文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課保健指導係長
 
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