歯科校医と連携した「歯の指導」

元藤沢市立御所見小学校 養護教諭

南辻 恵子

 

1.地域と子ども達の実態

 本校は街の中心から離れており、学区が広域なため一部の児童はバス通学をしている。祖父母と同居の家庭も多いが、核家族がほとんどで最近は一人親家庭が増えている。

 生活リズムがなかなか整わない家庭がクラスの2,3割を占め、「歯みがき」「洗顔」「手洗い、うがい」をしない子も目立つ。

 

2.新任の歯科校医さんとつながり「栄養の取り入れ口としての歯」を教えたい

 ・・・2009年度の実践

 現任校で1年過ぎた3月に歯科校医さんの交代があった。事前打ち合わせを「連携指導につなげるチャンス!」と捉え、混合歯列期の真ん中の4年生に歯の授業計画を立て、校医と対面、電話、FAXで綿密に打ち合わせをした。

 

3.歯科検診日に焦点化した授業作り

1次  自分の歯を知ろう(養護教諭の45分授業)

歯科検診の3日前に4年生3クラス 1日、1クラスずつ 各教室で指導

● 自分の歯の観察 (スルメやせんべいを食べて歯の働きを体感 疑問 歯のスケッチ)

● 歯の生え替わりのしくみ 歯並び  かみあわせを学ぶ

● 歯科検診前にむし歯の予想、校医さんの話がわかるように歯の予備知識を得る

● 4年生を検診順の最後に位置づけ、検診後に指導をお願いした

 歯科検診の事前指導(担任)

●検診前に予想した子ども自身の歯の状態と検診でわかった歯の状態を記入する

●グループで考えた 「校医さんへ 質問!」(資料1)・・・担任がまとめてくれたものを検診の前日に校医にFAXし、校医の指導時に回答してもらった。

 資料1

4年生 3学級分(各グループに質問は一つ)

● 歯医者の先生は人の歯をけずるときにどういう気持ちでけずっていますか?

● 乳歯はいつごろぬければいいんですか?

● どうしたら8020になれるんですか?

● かんでいるとおく歯がいたくなるのはどうしてですか?

● 歯のためにはどういうものをたべたらいいですか?

● なぜ歯は一度しか生え変わらないんです

● どうして歯ははえかわるのですか?

2次 歯科検診と歯科校医の指導

 場所 保健室

①検診時間 1クラス 20分

②指導 4年3クラス合同(40分)

   児童は体育座りで参加

③「校医さんに質問!」グループ討論で 子どもが決めた代表の子6人が、立ち上がって質問する。司会:養護教諭
歯科校医の関原先生が笑顔で回答。質問に答えながら、歯についての認識が深まるように用意されたフラッシュカード、写真、顎模型(乳歯の下に生える永久歯が見える透明な立体模型)などを使いながら終始笑顔で指導がなされた。

3次 (歯科検診後にクラス単位で45分授業を養護教諭が実施)

テーマ: 自分の歯を知り、守り、生かす

● 検診で校医さんに指摘されたことを振り返る。生きている歯を実感させる。(校医さんから借りた顎模型を使用)

● ブラッシング せんべい、かりんとうなど好きなものを食べたあとに、 いつもの歯ブラシでみがきかたの学習

 

4.子ども達の感想

 感想文は3回の授業を通してまとめて書いてもらい、代表的なものだけを取り上げた。

かんじゃさんの歯をガリガリけずるのは、歯医者さんもイヤなんですね。私もガリガリされるのはいやです。むし歯はとてもいたいです。でもちゃんとみがかないといけないですね。

Y・O女

なんでむし歯ができるんだろう?おく歯とかに歯ブラシがちゃんととどいていないと(食べかすがとれなくて)むし歯ができるそうです。ぼくはちゃんとみがけていなかったから、むし歯になったと思います。

Y・M男

いつも歯みがきこをいっぱいつけてみがいていたけど、歯のうらはみがいてなかった。これからはうらもちゃんとみがきます。

M・H女

歯でかむことがのうの運動だなと思いました。今までの歯みがきは時間をかけてみがいてただけで、むし歯になっちゃったけど、ちゃんと細かくみがけるようにします。

T・A男

歯にくえんは自分で治せると知ったけど、ならないようにしたいです。<今までのみがきかたは>いつも歯みがきこをたくさんつけていたけど、それでスッキリしてすぐ終わりにしてたのでむし歯になってしまった。これからはこまかくしっかり、1本ずつみがきたいです。

S・Y男

歯肉えんやちょっとしたむし歯なら自分でなおせることがわかった。奥歯は最初から永久歯なのがわかった。歯みがきはてきとうに見えるところだけやっていた。これからはちゃんと歯のうらの見えないところもみがく。

R・W男

歯をみがくのにも順番があるってことは知りませんでした。「かむこと」は脳の運動だってことも知りませんでした。

 

S・K男

 

5.まとめと今後の課題

●感想文から子どもが「生きて働く自分の歯」について実感できたのではないか。

●おやつを食べ、「噛むこと」や、歯の観察、歯磨きをしたことで歯を守ることの大切さを認識できたのではないか。

●子ども達が直接「歯についての疑問」をぶつけ回答してもらうことで、共通の理解ができたのではないか。

●歯科校医の先生からは「検診だけで『さっと』終わって帰るのではなく、子どもとのやりとりがあり新鮮な出会いで楽しかった」との感想を戴いた。

●養護教諭の感想として、校医さんと一緒に授業づくりをしたことが、共に子ども達の「歯」の健康認識を育てるスタッフ同士という気持ちを感じることができた。

●この実践を毎年継続していくことが課題である。(2010年度も実践ができた。)

掲載日時:2011/06/23   

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